保育園虐待事件にみる報道のあり方について

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こんにちは。山田です。

保育園でおきた虐待事件が大変大きな波紋を呼んでいます。大きく報道されているので事件のあらましはご存知かと思います。静岡県の保育園で1歳の園児を宙吊りにしたりカッターナイフで脅かしたり頭を叩いたりといった虐待が行われ、女性保育士3人が暴行の疑いで逮捕、園長が刑事告発されています。

もちろん、幼児に対する虐待はあってはならないことであり、保育士は罪を償うべきです。決してこの犯罪行為を擁護するつもりはないことを最初に申し添えておきます。

しかしながら、逮捕された保育士に関する報道がいささか過熱気味なのに違和感を覚えるのです。実名報道は仕方ないにしても、現在や過去の顔写真を晒したり、家族構成を晒したり、過去の言動を晒すのはいくらなんでもやり過ぎなのではないかと思います。さらに、SNSやいわゆるトレンドブログでは、保育士の住所やSNSアカウントを特定するような動きまでみられます。もはや凶悪殺人犯やテロリストのような扱いです。

果たして保育士を晒し上げるだけで問題が解決するのかというと、決してそうではないと考えます。

東洋経済オンライン『「3歳園児バス置き去り」過熱報道に欠けた視点 同じ事件を二度と起こさないために何が必要か』の次の一節に強く共感を覚えました。

問題はメディアが、誰かを叩くことが目的のような“断罪劇場型”の報じ方をすると、それを見る人々や保育関係者ですら感情的に怒るだけで思考停止してしまうこと。


「3歳園児バス置き去り」過熱報道に欠けた視点 同じ事件を二度と起こさないために何が必要か

本当に必要なのは当該法育園の運営・管理体制がどうなっていたか?保育士の労働環境がどうなっていたか?を追求し、社会全体がどうしていくべきかを模索することではないでしょうか。保育士叩きの報道が加熱し、怒りという感情にとらわれてばかりいると、かえって問題の本質を見失ってしまうのではないかと思うのです。

保育園や幼稚園、こども園のホームページ制作のお仕事がしばしばあり、ヒアリングをしに行く機会がしばしばあります。どの園もこどもファーストで運営されており、園長さんや保育士さんは誇りをもって、かつ楽しそうに仕事をされている印象です。知り合いにも子どもに携わる仕事をしている人がいますが、やりがいを持って仕事をされています。おそらく大多数の方はそうでしょう。今回逮捕された保育士や刑事告発されている園長も、最初は高い志を持っていたと信じたいです。それがなぜこのような事態に至ったのか?その原因を探っていくことが大事なのではないかなと思います。

再三申し述べますが、暴行は犯罪であり、今回の保育士は罪を償うべきだと思います。ただ、「犯人像」としてメディアですべて晒されることで、再就職が難しくなったり、家族も含めその地域に住めなくなったり、家庭が崩壊したりする末路になりかねません。刑罰を与えられるのは司法だけであり、私刑は日本の法律では認められていません。メディアが「報道」として個人の人生を狂わせる権利がどこまであるのか、甚だ疑問です。

個人的にはもう少し保育士あるいは介護士といった人命に関わり責任が重く、精神的にも肉体的にも大変な仕事をされている方の待遇や労働環境が改善されることを願います。そして、「犯人像」という目先の情報ではなく今回の事件の全容が解明され、すべての保育園、幼稚園、こども園の運営のあり方を見直す、建設的な議論がなされることを願うばかりです。

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